だからこそ言える‥。

私と千明くんを結んでくれたのはピアノだ。


「私は‥ピアノのこと大好きだよ。ピアノに出会えて本当に‥よかった‥。」

‥ピアノがなければ千明くんと私は結ばれることはなかった。


本当に、本当にありがとう。


私は掃除を終え、きれいになった音楽室を見て音楽室を後にした。

この音楽室でひくのは、最後だと知ったうえで‥。



私はその足でピアノ教室に行った。

今日はレッスンではない。だが、日本を出発するまでにやらなければいけないことがある。

「あら、花音。今日はレッスンじゃないけど、どうしたの?」

凛子先生がいつも通りに出迎えてくれた。


「‥凛子先生。お願いがあるんです。」