「‥ねぇ、千明くん。」

私はあえて千明くんの顔をみずに話しかける。

「ん?」

「千明くんと出会って私、たくさん笑えるようになったんだよ。毎日が楽しくて、前まで行きたくなかった学校も、千明くんがいるから行きたいて思えるようになった。これも全部、千明くんのおかけだよ。」


また花火が上がる。

「私、千明くんと出会えてよかった。‥私、千明くんのこと好きだよ。千明くんのこと大好き。」

私の伝えたかった気持ちを千明くんにぶつけた。

ここで横を振り向くと千明くんも横を振り向いていて私と目が合った。

千明くんの顔が赤くなったのは花火の光のせいなのかそれとも照れているせいなのかよく分からなかった。

「あ‥あの、千明くん?」


すると千明くんは笑った。

「‥良かった。答え、出してくれてありがとな。‥俺も花音のこと大好きだよ。」


そう言って、千明くんは私の唇に口を近づけた。


それは、私にとって初めてのキスだった。


「‥ごめん。嫌だった?」

離れた千明くんが聞いた。

「ううん。千明くんだったら嬉しい!」

私は笑顔で言った。

「花音はいつも、それだよな。俺だったら、何でも嬉しいのか?」

千明くんは呆れたように笑った。

「うん!千明くんの贈り物はとても、嬉しい。」

「そっか‥。でも、俺はあんまりキスはしないよ。特別な時だけ‥」

「じゃあ、今日は結ばれた日だから特別な日だね!」

そう言って今度は自分から千明くんの唇に近づけた。

「か‥花音‥。言ってるそばから‥。‥あんまり、するなよ。‥俺、もっと花音のこと好きになるだろ‥。」

「千明くん。もっと、私のことを見てよ。それで、もっと今よりも好きになって。」

私はめちゃくちゃなことを言ってるなと思ってしまった。

「‥わかったよ。でも、キスは取りあえず1回だけな。」

「うん!わかった!」

「それにしても、花音はかわいい顔してるのにやることは野獣みたいだな。肉食なのか?」

「‥結ちゃんにもそれとよく似たことを言われた‥。」

「本当に?花音はこう見えて、性格悪かったりするのか?」

千明くんが面白そうに聞いてくる。

「そんなんじゃないよ!私、性格悪くないよ!」

私は必死に訴えた。

「わかったよ。花音は性格悪いなんて思ってない。」

「そう?」

「そんなに疑うなよ。ほら、それよりも花火見よう!」

私は千明くんに促され再び花火を見始めた。

私にとってこの夏祭りは人生の中で最高のものとなった。