「‥本当に?本当に似合ってるの?」

私は確かめるように聞いた。

「似合ってるよ!嘘ついてどうすんだよ。」

顔を見てみても千明くんは本心で言ってるようだった。

「そっか‥。よかった。」

それがわかると自然と笑顔になった。

「じ‥じゃあ、行くぞ。ここの階段、長いけど大丈夫か?」

「うん。大丈夫。行こう!」

すると千明くんは手を差し出した。

「えっ!?」

「‥怪我するとダメなんだろう?将来を期待されてる人だからな‥。」

「う‥うん。ありがとう‥。」

私はドキドキしながら千明くんの手を握った。

千明くんの手はとてもあたたかった。

千明くんの服装はとてもラフな格好だった。

でもそれがなぜかかっこよく見えた。

あれ‥?

「ちょっ‥ちょっと待って、千明くん。こんなに大勢の人が集まるところ来て、大丈夫なの?」

すると千明くんは微笑んだ。

「大丈夫だよ。花音と一緒ならこのぐらい大丈夫。‥さぁ、行こうか。」

ドキッ

「う‥うん。」

そう言って私と千明くんは歩き出した。


‥わ‥私、すごくドキドキしてる。‥これが恋なの?


境内につくとたくさんの屋台が出ていた。

久しぶりに行く夏祭りだったので、すごく嬉しかった。

「千明くん!わたがし、食べよ!あっ!たこ焼きも食べたい!」

私にしてはすごくテンションが高かった。

「そんなにあせるなよ、花音。1つずつ行こう!」

そう言う千明くんもはしゃいでいるようだった。


私と千明くんは食べたい物や興味があるものには、全部行った。

すごく、すごく楽しかった。




「ただ今から、花火大会を行います。」

場内アナウンスが境内に響いた。

境内にいた人達が花火が見える方向に移動し始めた。

「もう、こんな時間か。早いな‥。」

千明くんがしている腕時計を見ると、もう20時30分だった。


「すごく、早いね!こんなに楽しいの久しぶりだなー。」

私はすごく楽しんでいた。

「なぁ花音。花火、見ようぜ。こっち。」

そう言うと千明くんは私の腕を引っ張って境内よりもさらに上にあるところに連れていった。


「ね‥ねぇ、千明くん!どこに行くの?」

私は少し不安になった。

「花火がよく見えるところがあるんだ。とても綺麗なところ。ここ、地元だから分かってるよ。」

そう言って連れて来られた場所は‥

「わぁぁぁぁぁぁ!」

一面に夜景が見れて、見晴らしのいいところだった。


「きれいだろ。ここ。俺のお気に入りの場所。」

「うん!すごく、綺麗!!」

私と千明くんは近くにあったベンチに腰かけた。

「‥なぁ、今日は来てくれてありがとな。すっごい、楽しかったよ。」


ドン!!

1発の大きな花火が上がった。

その光に千明くんの顔が照らされた。

ドキッ!

また‥私の心臓が高鳴った。

「あんなに笑ったの久しぶりだし、はしゃいだのも久しぶりだった‥。こんなに楽しめたのは‥花音がいたからだよ‥。」

花火がどんどん上がっていく。

「‥うん。‥私も楽しかったよ。すごく。」