「‥俺は橋村さんと仲良くする気なんかないから。」

「えっ!?」

突然の言葉に驚く私。

「‥それと興味本位に千明に近づいているんだったら、離れろ。今すぐに。」

「‥‥っ!な‥なんでそんなこと樹生くんに言われなくちゃいけないの?」

「千明が傷つくだけだから。」

「!?」

「だってそうだろう?俺と千明は小学校からずっと一緒なんだ。高校から一緒になった橋村さんに千明の気持ちなんて分からない。橋村さんみたいに、何も悩みなんてもっていなくてずっとしかれたレールの上を歩いてきたやつに千明のことなんか何も考えられないんだよ。だからあいつが傷つく前に手をひけ。」

ズキッ 心が痛む。


「‥私が‥私が‥何も悩みなんて持ってないて思ってるの?‥会ったことも、話したこともなかったのに、どうして分かったように言えるの?私がどれだけ苦しい思いをしているか知らないくせに分かったような口を聞かないで!」

気がつくと泣いていた。涙があふれてた。

「あんたなんかともう話したくなんかない!樹生くんがやってることは笹川くんを傷つけるやつと一緒だよ!」

私は樹生くんを押しのけて音楽室を出ていった。


私の心の中は雨が降っていた。

そしてさっきまで晴れていた外も冷たい雨が降っていた。私の心を照らしているようだった。



「花音、さっきはごめんね!私、約束があるのすっかり忘れてて‥て花音?聞いてる?おーい!」

結ちゃんの声でボーッとしていた私の意識が戻ってきた。

「えっ!?あ‥うん‥聞いてたよ。全然大丈夫だから気にしないで。」

結ちゃんも‥笹川くんから離れた方がいいて思ってるのかな‥。

「雨‥降ってきたね。さっきまで晴れてたのに‥。」

「そうだね‥。」

すると結ちゃんが心配そうに話しかけてきた。

「どうしたの花音?さっきからボーッとして変だよ?何かあった?」

「な‥何もないよ!私、いつも通り元気だから!」

慌ててそんなことを言ってしまう私。

「そう?ならいいけど‥。」

結ちゃんは不審そうに言う。