・・翌日・・

なんとか間に合ってよかった~
遅刻なんかしたら、車での送り迎えが始まっちゃうもん。
学校までの並木道。
この素敵な風景と空気を一瞬で通り過ぎちゃうなんてホントもったいないもの。

少し両手を広げ、深呼吸した。
その間も、私の隣を何台もの高級車が通り過ぎて行く。


「山田総合病院の末娘として恥ずかしくない行動をいつも心掛けてちょうだい。
メイ、お願いよ!」

ママ..じゃなくてお母様の口癖。

山田家の住込み家政婦だったママ。
お父様に見染められて2年前に再婚。
山田家に入ってからというもの、私はどこにいても気を抜けない。

中学は転校せずになんとか公立のまま卒業させてもらえたけど、高校からは県内屈指のお嬢様学校に入学。

「メイ、なにもかもこれまで通りには行かないの。
とにかく勉強してちょうだい。
医大に行ってちょうだい。
わかってるわ、勉強がそれほど好きじゃないあなたのこと。
今からだとどうしたって名の知れた大学には入れないでしょう。
でも、いいのよ。
何浪したって、どんな三流大学だって。
医学部でさえあればいいの。
だから、どうかお願い。
お勉強してちょうだい」





「はい...お母様」

「何ぶつぶつ言ってんだよ!」

「おっ、轟君!」

「おはよう!メイちゃん」

「おはよう!真里菜ちゃん」

この二人も送り迎え拒否の“徒歩組”。
そんなところも気が合う。


「で、昨日はどうだった?
無事補習終ったか?」


「うん..それがさぁ..」

「え?また先生に怒られたの?」

「ん...それがね...」