「いいじゃない。大丈夫だって言ってるんだしっ!ねっ‼」



ベタベタくっついてわざとらしい……


やっぱり何回見てもイライラする。

この女の態度が許せない。




「…………」



私もなに何ムキになってんだろ。付き合ってるんだから普通のこと。


それに……私には……


チラッと尊琉君を見ると、目が合って笑ってくれた。


何だか、落ち着いてくる。



優しい尊琉君。

私の気持ちを知っていても、それでも好きでいてくれる。



こんな優しい人に申し訳なかったけど、尊琉君がいてくれてよかったって本当に思ってしまった。



「ありがとう。尊琉君」


「へ?何が?」


「ううん、何でもない」



首を横に振ると、尊琉君は私の頭をクシャクシャ撫でた。



「気になるだろ?」


「何でもないってばーっ」



いつも気遣ってくれて、どんな時でも笑顔にしてくれる尊琉君が寛大な人に見える。


自分の心の中の変化を、いつか私は気付くことが出来るだろうか。




そんな風に笑い合っていると、前から突き刺さるような視線を感じた。


一瞬だけ見ると、魁がじっと無表情のままずっと私たちを見ている。


何なんだろう……よくわからない。