「っ!?」


裏の顔で、後ろに佇む明菜。


まるで幽霊みたいで、声も出なかった。



「最近調子に乗りすぎなんじゃない?よく喋るからっていい気にならないでよね」


「何それ。考えすぎなんじゃないの?」


「魁は私のなんだから、気安く近寄らないでよ」



“魁”だなんて呼び捨てにしたこと1度もないくせに。こんな時ばっかり。



「遊園地に行くって言ったら顔色変えちゃって……本当は嫌なんでしょ?」


「遊園地じゃなくたってあんたと一緒ならどこだって嫌」



学校で顔見ることすら嫌なのに。


明菜は腕組みをしながら私に近寄った。



「ふーん、私は結構楽しみなのに」


「そんなの私に見せ付けるからでしょ。あんたの考えることなんてわかってるわよ」



笑う明菜をキッと睨んだ。



「いいじゃない。どう頑張っても魁にとって桜綾は“ただの友達”なんだから。恋愛対象になんかなれないんだし。魁がそう言ってたんだからね」



『魁がそう言ってた』


明菜の口から聞くと、悲しさと悔しさがより倍増する。


痛む胸を必死に隠した。


そんなのわかってる。



「ま、何かあったら尊琉君にでも慰めてもらえば?私は桜綾のその悔しそうな顔見れるだけで十分だからさっ」



そんなことだけの為に、わざわざ遊園地に行くなんて……