眩しい朝日が、部屋の中を照らす。

「んん〜〜……はぁ、おはよリク」

「キュ〜ン」

「ははっ、ご飯ねちょっと待ってね」

寝ていた体を解して私は、目を覚まし隣で寝ていた犬のリクにおはよと眠い目を擦りながら言った。

リクは、おはよとお腹空いた!というようにキューンと上目遣いで見てきたので少し笑ってしまった。

リクという名前は、カタクリという花から取った。
花言葉は、「初恋」「寂しさに耐える」
まるで、「寂しさに耐える」というのが昔の私みたいで何となく気になってしまい、雨の中ずぶ濡れになっていた仔犬をも見つけ何だか同じ境遇に思え、可哀想だがつけてしまった。

けど、ちょっとカッコよく名前つけたから平気だろうと思いたい。

ただ、この花のもう一つに「初恋」とあって今まで1度もないからちょっと気になったりもする。

だけど…………私には、無縁だなと思い直し今日も嘘の仮面をつけて憂鬱になりながら学校へと向かう。

☆☆☆
私は、高校生になってから一人暮らしを始めた。
理由なんて、簡単だ
親もいない親戚にだって、嫌われ目障りに思うような顔をしながらも嫌々育てそして大きくなり飛び出すように家を出た。

そして、私はバイトをしながら暮らしている。

まぁ、何故か一軒家にしてしまったのだが……
1人で暮らすにしてはとても広すぎるが近所と付き合いたくなくて田んぼしかなく、ぽつんとそこに一軒家だけがあり怪しまれることもなく、関わりのあるやつらもいない。

そんな所に住みたかったからちょうど良かったのだ。
それに、少し歩けばコンビニだってスーパーまであるのだから、それほど苦でもない。

だからこそ、ここが良かったのだ。

そして、私は高校にも行っている。

何故、行くのかと聞かれても困ってしまうがそれでも、私には高校でやりたいことがあった。

それが、バスケだ

バスケは、私にとって命よりも大切なものだ。
だから、手放したくなかったただそれだけだから、高校に行く。
簡単なことだ。

そういえば、もうすぐで大会があるな〜
と思いながら私は今日も、部活頑張ろうと思っていると目の前に学校が見えてきて、重々しく溜息をつきながら今日も、憂鬱な学校生活の始まり

☆☆☆
ガヤガヤガヤ
教室には、もうほとんどの人がいるそうで騒がしい。

ガラガラガラ
私が、扉を開け入ると一瞬の沈黙
そして、また周りの友達達とおしゃべりだ。

私は、この高校に入ってから誰とも口を聞いていない。
最初は、頑張ろうと思っていた奴らも最終的に諦め話すことを諦めた。

まぁ、私が話しかけるなオーラを出していたからかもしれないが……それでも、話そうとは思わない。

何故って?誰も信じてないから
まぁ、過去も話してないが……
それでも、何故か鬱陶しくつきまとう奴は漫画じゃあるまいしいるとは思わなかったのだが……

「おはよ!!空藍ちゃん!」
ほら、来た……

「…………はよ」ボソリ

「ゃ……」

「え?」

「やった〜〜〜〜!!!!空藍ちゃんに、挨拶された!!やっと、挨拶された!!」

「は?」
あ、挨拶だけでこんなに喜ぶとは……
私は、びっくりして口をポカンと開けたまま立ち尽くしていると目の前にいる如月 祐実(きさらぎ ゆみ)
は、はしゃぎながら話を進めていた。

「ねぇねぇー、私空藍ちゃんと友達になりたい!!お願い!」

「は?」

半分の話を聞いてないから、どうしてこうなっているのか話についていけてないが、そんなの絶対ゴメンだ。

「嫌だ」
即答で私は、返答したが……

「えぇ〜、いいじゃんいいじゃーん!どうしてダメなの??」

「ど、どうしてって……」
そう聞かれるとは思っていなくて、私はどもってしまった。


それでも、目の前の子はねぇねぇ、どうしてどうして?としつこく聴いてきている。

だんだんと、鬱陶しく思えてきたため私もプツンと切れてしまった。

「あぁ〜〜!!!もう、うるさい!」


私は、いつもより大声を出してしまいハッとしたときには遅かった。

「あ、ご、ごめん」
なんだか、居心地が悪くなってしまい先に如月に謝られてしまった。

周りを見ると、こちらを見ながらコソコソと何かを話しているのがわかり、誰もこの状況に優しく手を貸そうとする奴はおらず私は、また苛立ちチッと舌打ちをしてしまった。

そうして、それが聞こえてしまい自分にかと思ったのかビクッと目の前で大袈裟に揺らしていて目はもう涙が出るのではと言うくらいゆらゆらと揺れ水が溜まっていた。

「はぁ、ちょっと来て如月さん」

「え?」

私は、ここに如月を居させるのはまずいと判断し手を掴んで強制的に教室を出た。

☆☆☆
「はぁはぁ、ど、どうしたの??」

「はぁっはぁ……別に」

「そ、そっか」

「あのさ……」

「???」

私は、如月になんと言えばいいのか分からなくなってきた。
なんとなく、ここにいたらまずいと感じた。
それは、私に部が悪いからなのかも知れないが、なんとなくコイツの事も言っているような感じがして…………私、何言ってんだろ……別に、コイツがどうなったって私には、関係ないのに……

「あ、あの……」

「なに?」

「私ね、空藍ちゃんがどうして皆の事避けたりするのかどうして馴染もうとしないのかわからない空藍ちゃんに、何があったのかも……だけどね、私絶対空藍ちゃんのこと聞いても離れないと思うんだ!だから、私……空藍ちゃんのこと、もっと知りたい!!もし、空藍ちゃんに何かあったら助ける!だから、もし誰かに頼りたいと思ったら頼って欲しいな」


そんなの……そんなの……

「絶対なんてない」

「え?」

「……絶対なんて絶対にないそんなの、嘘にしか聞こえないだから、そう簡単にずっと一緒にいるとか言うな」

「ご、ごめん」

「それじゃ、クラス戻るよ」

「う、うん」

そうして、私たちはドギマギしながらクラスへともどった。

☆☆☆
キーンコーンカーンコーン
ベルの音が鳴り響き皆席に着く。

そして、すぐに先生が入りホームルームが始まる。
先生の長い話が終わりクラスを出るとちょうど鐘が鳴り授業が始まった____


☆☆☆
やっと、学校が終わりそして私にとっては心の拠り所である部活の始まり
走って、体育館まで行きそして更衣室へ先に行って着替える。

「あ、よっ空藍」
ガチャと扉の開く音が聞こえ音の方を見ると山中 茅里(やまなか ちさと)がいた。

「よっ」

茅里は、同じバスケ部で今ではライバルというくらい同じくらいの技術を持ち合わせ同レベルの実力で今でも部内でこっこりと争っている。

「今日もやる?」

「当たり前」

私たちは、ニヤリと笑い火花を散らした。

茅里は、少しだけだが心が許せる。
何故かと理由を聞かれると困ってしまうが、まぁ多分あの時からだろうと言うおおよその予想はつく。

中学の時1度、茅里とは大会で今までにないと言われるような試合をした。
あの時からだろう、私たちはライバルだった。

そして、茅里は少しだけ私の過去を知っている。
その理由は、更衣室で私の体を見たからだ。

あの時、茅里は凄く驚いていた。
当たり前だろう、あんな酷い傷普通は見ないのだから……
だから、私は今見た事は忘れろとそう言おうとした__


「……ッ!?なんで泣いてるんだよ」

「グスッだって、酷すぎるよッ……こんなのおかしいヒグッ…」

言えなかった。
今、この言葉を言ったらコイツはもっと泣くそう思った。

だから、私は……

「ねぇ、このことは、誰にも言わないで」

そう言うことしか出来なかった。

「言わない!絶対!!だから、どうしてこうなったのか教えて」

「な、なんで」

「私、あなたが泣いてるのを我慢しているようにしか思えない頑張ったんだねお疲れ様、もう泣いたっていいんだよ」

急に、理由を聞かれ私は驚いた。
それに、なんか慰められてるし……けど、あのときはまだ親の対応を受け入れることが出来なくてだから、優しくされて多分ゴミでも入ったんだと自分に言い聞かせて壮大に泣いた。

その時から、少しだけ自分のことを話して仲良くなったのかな?と言うくらいの関係になっていた。

だから、少しだけだが心が許せる。

「じゃあ、一緒に行こ」

「うん」

そう言って、私たちは体育館へと向かった。