文久三年の十二月




少年・・・否、男装をした少女が京の都に降り立った。




舞い落ちる雪は、綺麗で少女を歓迎しているかのようにも見える。




少女は、クルクルと番傘を回しながら京の都を歩いているのに対して町の人達は、少女を微笑ましく見ている。

それに気づかない少女は、一歩・・・また、一歩と京の都をゆっくりと歩いている。






「此処に来るのは、久しいな・・・何時ぶりだろうか・・・

(・・・それにしても何故、此処の人達は、こんなにも冷めているのだろうか・・・)」




少女は、今まである人と転々と旅をして来たがこんな場所は、初めてで不思議に思っているようだ。




「(どちらにせよ私は、もうすぐ消える身・・・・・・きっと桜のように儚く散って終わるのだろうな・・・)

此処で最後を共にするのも悪くない・・・

・・・貴方は、今何処に居られるのですか・・・?

逢いたいです・・・比良裏殿・・・・・・。」