「そりゃあ……そうなるよねぇ」



がらんとした彼の席を見て、紗千がため息混じりに呟いた。

その横顔は次咲くんを心配している、という訳ではなさそうだった。



かわいそー、なんて漏らす様子から同情はしているんだろうけど。



「そう、だね……」



次咲くん……。

大丈夫なのかな……?



紗千はすぐさま次咲くんの席から視線を外し、

「あっ、そんなことよりもさぁっ。今日の放課後空いてる?カラオケ行かない?」

ポケットからカラオケの割引き券を取り出してきた。



「カラオケ?行きたーいっ!でも、ごめん。今日はお母さんに買い物を頼まれちゃってて……」



行きたいのは山々なんだけど、その頼まれた品っていうのはタイムサービスだ。

残念だけど、急いで買いに行かなきゃいけないんだよね。



「そっかぁ、残念。じゃあまた誘うね!」

「うん、ホントごめんね」



紗千は全然良いよ〜、と笑いながら別の子の方へ行ってしまった。