「あ……あったよ」



焼却炉の前に、数冊の教科書が落ちていた。

拾い上げて名前を確認してみると『次咲将太』と書かれていた。



「そこで何やってんの?」



それを次咲くんに手渡したタイミングで、背後からアーラが現れた。

アーラ……というか、ふわふわの黒猫が。



なるほど……猫の状態でも喋れるんだぁ。

なんて呑気なことを考えていると、黒猫が一瞬にして人へと姿を変えた。



って、次咲くん。

決定的瞬間を見てなかったんかい。



「あれっ?!いつの間に来られたのですか?大悪魔様、じゃなかった。黒羽さん」



大悪魔様って……どれだけ崇拝してんだよ。



「あぁ、なるほど。将太もかわいそうな奴だなぁ」



アーラは次咲くんの教科書をちらりと見ると、やれやれとため息を吐いた。