「そうか?魔界には何でもあるぞ?金も、宝石も、食べ物も。女だってわんさかいるぞ?」

「あぁ……うん。ごめん、興味ないかな……」



魔界がどれだけパラダイスでも、悪魔がどれだけ万能でも。

人々を恐怖に陥れ、魂を奪うような悪行なんか絶対にしたくない。



丁重に断ると、アーラはそれ以上誘ってこなくなった。

微かに舌打ちが聞こえたような気がしたけど……気のせい、だよね?



それにしても……もう眠くなってきたなぁ。

でも悪魔が真横にいる状態で眠るなんてそんな……。



なんて躊躇していたのに…。



あれからすぐ眠ってしまったようだった。

気が付けば、カーテンの隙間から光が漏れている。



うん、やっぱり身体は正直だなぁ。



「ん……?」



ぼんやりとした視界の中で……目を閉じて眠るアーラの顔がアップで現れた。



「ぅぎゃあっ……!」



ち、ちちち近すぎ!



慌てて飛び起きたせいで、派手にベッドから落下してしまった。