アーラの指が頬に触れた。



「……ひっ!」



やだ。

怖い!



何をされるか分からない恐怖から目を背けようと、咄嗟に瞼を閉じる。



「大丈夫だって。何もしない」

「……ほ、ほほ本当に?」



恐る恐る目を開けてみると、アーラは優しい笑みを浮かべていた。

常に殺気立った目をしている彼が見せた、温かい表情に思わず安堵のため息が漏れた。



わぁ…。

悪魔もこんな顔するんだ……。



こうやって笑っている姿を見ると、彼は本当に悪魔なのかとさえ思えてくる。



そう、今はアーラじゃなくて黒羽くん。

爽やかで優しい、黒羽くんって感じ。



「えーっと、奏ちゃん……だっけ?」

「うんっ、そう。奏……二十日奏」



だけど彼は悪魔。

黒羽くん、っていう天使の仮面を被った悪魔なんだ。



いやぁ、でもかっこいいなぁ。

そのふんわりスマイル…もう悩殺レベルだよぉ。



ハッ!

相手は悪魔なのに胸きゅんしてしまうなんて……何やってんだーっ!

私の馬鹿!