「それにアーラを召喚したことは間違いなんかじゃないよ。アーラと契約しなければ、今でもイジメは続いていたんだから」

「でも……奏ちゃんがいなくなるなんて、そんなの絶対に嫌だよ。こんなことになるなら、イジメられた方がマシだ」



ありがとう、次咲くん。

私の為に涙を流してくれて。



「次咲くんはもう、大丈夫。一人ぼっちなんかじゃないよ。私がいなくても大丈夫」



クラスメート達とも、今では笑って話せるようになった。

もう前みたいに、皆から罵られるようなことは無くなった。



イジメはもう、終わったんだよ。

それに次咲くんは、これからはきっと立ち向かって行けるはず。



そう、麻里子ちゃんから私を守ってくれたように。

垣内くんに立ち向かった時のように。



「そうかもしれないけど!でも僕はっ、他の誰よりも奏ちゃんが……」

「ありがとう、次咲くん。じゃあそろそろ帰らなきゃ。また学校でね」



これ以上会話を続けると、つられて泣いてしまいそうだったから……

まだ何か言いたげな次咲くんを残して、逃げるようにその場を離れた。



「奏ちゃんっ!」



後方から涙混じりの叫び声が聞こえたけど、決して振り返らなかった。