昨夜は……全く寝付けなかった。
何度もアーラと交わした、キスの余韻がいつまでも残っていたせいで。
「あら、奏。どうしたの?朝ごはん、今日はアンタが好きなイングリッシュマフィンなのに」
「あぁ、うん。食べるよ、食べる食べる」
いけないいけない。
お母さんの前くらいでは、昨夜の出来事を思い出さないように努めなきゃ。
「赤い顔しちゃって。熱でもあるの?」
「無い!無いから!もういいっ、行ってきます!」
「ちょっと奏?!」
あぁ、駄目だ駄目だ駄目だっ。
キスされたことは初めてじゃないのに……。
なんでいちいちこんなにも、頭の中を支配されてしまうんだろう。
うぅ……なんだか翻弄されているような気がする。
「よっ」
「ひゃあっ!」
ため息を吐いたタイミングで、背中を軽く叩かれた。
飛び上がらんばかりの勢いで振り返ると、そこには満面の笑みを見せるアーラが立っていた。
「お、おおおおはよう!」
目が合った途端に顔に熱を感じてきた。
「えらく挙動不審だな」
「そっ……そんなことないよぉっ」
なんでアーラはそんなに……平然としていられるのよぉ。

