「お、おはよう……」



いざ本人を目の前にすると、怒りよりもドキドキが勝ったみたいだ。

顔に熱を感じてきたところで、慌ててそっぽを向いた。



「黒羽さん。今日は珍しく朝早くからご登校なさってますね。何か気持ちの変化でもありましたか?」



次咲くんは擦り寄るような笑顔を向けながら、日傘を取り出してアーラの頭上で手早く開いた。



次咲くん……どんだけアーラに腰が低いの?

毎度毎度思うけど、崇拝し過ぎなんだってば。



「別に?なんとなくだよ、なんとなく」

「ははぁ……左様でございますかぁ」



……なんか時代劇みたいになってるし。



「つーかなんだよ、その変な形の物は」

「あぁ、これはですねぇ。日傘と言いまして、貴方を紫外線から守るためにですね」

「日傘?紫外線?なんだそれ?」



……なんか二人で会話始めちゃったし。

もうこの隙に逃げちゃおうかな。



アーラがいるとイライラやら、恐怖やらドキドキやらで落ち着かないんだもん。



「私っ!先に行ってるね!」