次咲くんの叶えたい願いって……イジメっ子達に復讐することだったのか。



「僕は弱いから……嫌なことも嫌だって強く言えないし、やり返すことも出来ない。もうこんな日々は嫌なんだ」



僕だって普通の学校生活が送りたい。

次咲くんのそんな悲痛の叫びに、胸がちくりと傷んだ。



「ふむ……いいだろう。お前に代わって俺が、そいつらを不幸にしてやる」



悪魔はにやりと不敵な笑みを零し、次咲くんを見下ろしている。



「願いが叶った暁には、その報酬としてお前の大切なものを貰う」

「うん、いいよ。大切なものなんて僕にはないから」



これが……悪魔と交わす契約ってやつなの?

本にも書いてあった、悪魔が願いを叶えてくれるっていうあの?



じゃあこの日を境に、イジメっ子達は不幸になるの?

次咲くんの願いを叶える為に、悪魔が力を発揮するってこと?



嘘だ、そんなの嘘に決まってる。



これは夢。

悪い夢だ、夢に違いない!



「夢だ、夢だ夢だ夢だ……」



夢なら覚めて、今すぐ覚めてっ!