「どうしてって……。目の前に困ってる人がいたら誰であろうと助けるよ」
何でそんな……人間として当たり前の行動に疑問を抱くんだろう?
そう思ったけど……アーラは悪魔だもんね。
「馬鹿みたいに無駄な行動だな」
アーラはそう冷たく言い放ったけど。
彼は以前に、私を助けてくれたことがあったよね?
「アーラも、前に焼却炉から私の靴を取ってくれたでしょ?」
「あぁ……そんなこともあったっけ?」
「そうだよ。凄く助かったよ?無駄な行動じゃなかったよ」
とは言え、あの時の行動の真意は謎に包まれたままだけど。
ありがとうと付け加えると、あからさまにいやそうな顔をした。
「だから礼は言うなって前も言っただろ。不快な気分になるんだよ。それにあの時お前に手を貸したのは、お前を助ける為じゃない」
「そうなの?」
「お前の反応を楽しみたかっただけだ。勘違いするなよ」
あー……やっぱりそうですか。
炎に飲まれた靴を前に、絶望で立ち尽くす私が見たかったってことね。
うん、最もアーラらしい答えだね。

