「スゲー人間が多いな」
「うん。国内でも人気があるスポットだからね!ほら、テレビでもよく目にする場所だよ!」
「てれび?」
はっ、そうかぁ。
悪魔はテレビなんて見ないんだったか。
咄嗟に話題を変えると、
「あっ!あれはね、観覧車だよ。凄く高く上昇するから綺麗な景色が見えるんだよ」
アーラは遠くでゆっくり動く観覧車に視線をやった。
「人間は高い所が好きなのか」
「あ、いや。みんながみんなそうじゃないけどね。私は高い所は苦手だよ」
前にアーラと一緒に、空を飛んだ時のことを思い返し身震いした。
でも……観覧車から見える景色ってどんな感じなのかな?
「あっ、待ってアーラ!」
ぼーっと観覧車を眺めていると、前を歩くアーラと距離が開いていることに気がついた。
アーラはぴたりと足を止め、
「だから外でその名を口にするなっつっただろーが!」
珍しく語尾を荒げるもんだから……恐怖のあまりチビるかと思った。

