何でって言われても……。
「誰にも……傷ついて欲しくないから」
例えそれが、イジメっ子であっても。
私が助けられるのなら、助けてあげたいって思った。
ただ、それだけのことだよ。
不思議そうな顔をするアーラに説明すると、
「面白くない人間だなぁ……お前。イジメられておいてへらへらするか?普通は憎悪に塗れるもんだろ?」
呆れた口調でそんなことを言ってきた。
「えへへ……。誰かを憎んだところで現状が変わるわけでもないからね」
「まぁそうだな。お前は非力過ぎるからな。仕返しすら出来ないだろ」
「そんな……仕返しなんてしないよぉ」
アーラは再度面白くない人間と吐き捨て、くるりと背を向け歩き出した。
あ……。
ってゆうか今って、アーラと仲良くなれるチャンスだよね?
残された時間が少ないのなら、二人きりになった時にここぞとばかりに親睦を深めなきゃ!
うーん……どうしたらいいんだろう?
「何やってんだよ?早く来いよ。置いていくぞ」
ふと立ち止まって振り返ったアーラと、また目が合った。

