ふわりと地に足をつけた直後、八つの翼が瞬時に消えた。

その姿はもう、傍から見ればただの人間だ。



なに?

さっきの羽は幻だったとか?

なわけないか…この目ではっきりと見たんだもん。



そういえば本に書いてあった。

悪魔が人前に現れる時は、この世の者とは思えない美しい風貌で現れるって。



「信じられない……」



うわぁ……まさにその通りだ。



次咲くんの前に佇む人間は、息を飲むほどの美少年だった。

すらりとした体型だとか、整った鼻筋、透き通るような白い肌。



まさに、この世の者とは思えないような……美しい生き物って感じ。

容姿端麗って言葉がああもしっくりくる人なんて見たことがない。



もしかして…もしかして本当に悪魔なの?



って、やっぱり悪魔だなんて信じられるはずがないよ!

これは次咲くんの演出!

そうに違いないんだからっ!



彼は不敵な笑みを浮かべると、腰を抜かしたままの次咲くんに歩み寄った。



「俺は上級悪魔のアーラだ。お前か?俺を呼んだのは」



上級悪魔の……アーラ?

やっぱり次咲くんの演出じゃなくて、本当に悪魔だってこと?

嘘だ、嘘だぁ。