「俺に殺されたくないだって?」

「だ、だだだって。私は死ななきゃいけないってアーラが言ったじゃない……」



じわりじわりと後退を続けて、背中が固い壁に当たった。

手を伸ばせば触れられるほどの距離感で、アーラが立っている。



もしかしてまた……壁ドンのシュチュエーションじゃない?

ひぇ〜っ……怖いよぉぉ。



なんて身構えたりしてみたけど、今回それは無いようだ。



「そうだな。お前は見てはいけないものを見てしまったんだ」



本当に……なんであの夜。

校庭に行ったりしたんだろう。



「後悔してるし反省もしてる……。行かなければ良かったよ」



あの夜、興味本位で次咲くんを覗いたりしなければ。

こんなに恐怖に怯えることも、悩むこともなかったんだ。



「泣いても俺は同情なんてしないからな」

「分かってるよぉ……」



分かってるけど、辛くて辛くてたまらないんだ。

アーラになんて出会わなければ良かったって。