「つ……付き合ってないよ」

「はぁ?だって柏崎さんが、奏が黒羽くんに告られたところを見たって言ってんだけど?」

「あー……それはね」



何かの間違いだってことにしよう。

苦し紛れのいい訳をしようと思ったけど……。



予期せぬ柏崎さんの登場によって、出来なくなってしまった。



「あっ!柏崎さん!奏が黒羽くんと付き合ってないって言ってるんだけど?」

「え……?」



柏崎さんと目が合った。



柏崎さん……。

前は目が合うと、天使の微笑みをくれたのになぁ。



一切笑いかけてくれないどころか、すぐに視線を逸らされてしまった。



「二十日さん。嘘は良くないでしょ?」

「え……あ……」



あぁ……どうしよう。

じゃああそこで、はい付き合ってますって言えば良かったの?



いやいや、鬼の形相の紗千を前にしてそれは無理だよぉ。

ってか、この状況ってかなりヤバイ……よね?



「え……えへへへ」



みんなそんなに怒らないでよ、ね?



私だって好きでアーラと一緒にいるわけじゃないんだから。

寧ろ一緒にいたくないんだから。