明らかに敵意を剥き出しにされているけど、仲良くしたい一心で笑顔を向けた。



当然ながら、怒り心頭の紗千の心に響くわけもなく。

クラスメートの女子を三人ほど引き連れ、一層大きな怒声を上げた。



「黒羽くんと付き合ってるって本当なの?」



それは……。

私にとって、一番聞かれたくない質問だ。



頷いたら紗千が激昂することは目に見えてる。

だって紗千は、黒羽くんのファンなのだから。



ほら……よく言っていた。

「彼氏なんてどうでもいい〜。黒羽様と少しでもお近づきに〜」

ってそれはそれはもう毎日。



彼が悪魔だって知っていた私は、紗千とアーラを近付けないようにこう言い返していた。

「黒羽くん、そんなに良いかなぁ?ぜんぜんよくないよっ」

と……だから彼氏を大切にしてあげて、って。



ここで私が頷いてしまえば、じゃあ今までの発言はなんだったんだよってなるよね。



そうなれば、否定する一択しか思いつかない。