「……二十日さん?どうしたの?」



頭上から降ってきた声に顔を上げると、そこにはアーラが立っていた。



「あ……アーラ」

「……だからその名を口にするなっつってんだろ」

「ごめんなさいっ……」



周りに誰もいないからって油断してた……。

もう同じ過ちは繰り返さないようにしなきゃ、本当に殺されちゃうよ。



アーラは不機嫌に眉を寄せ、

「で……?お前はそこで座って何をしている?」

さっさと答えろと言わんばかりの態度で聞いてきた。



「いや……その。靴がなくなっちゃったから」



次咲くん同様に……何もないなんて嘘をつこうと思ったけど、正直に話すことにした。

なんとなくだけど、彼には通用しないような気がしたから。



だから体育の授業に出られなくて困ってる。



そう答えると、

「ひゃっ……!」

何を思ったのか、アーラに突然腕を引かれた。



無理矢理立たされたかと思うと、そのまま軽々担ぎ上げられてしまった。



「ちょっ……!」