そうならないためには、必ず私を殺さなきゃいけない。

次咲くんはそんな……身の毛のよだつような恐ろしいことを教えてくれた。



「でも……しばらく殺さないって……」

「それは奏ちゃんを油断させるためだよ。何の情も持たない悪魔が、奏ちゃんをこのまま生かしておくわけないでしょ?奏ちゃんを殺さなかったら自分の身が危うくなるんだから」

「そんなぁ……」



じゃあやっぱり私は……いつか殺されちゃうってこと?

そりゃあないよ……。



どうにかアーラを魔界に帰らせる方法はないの?



すかさずそう問いかけると、

「僕との契約が果たされれば帰るよ。それ以外では……残念ながら無理かな」

絶望的な答えが返ってきた。



「でも……奏ちゃんを巻き込んでしまったのは僕のせいだ。まさか本当に召喚術が成功すると思わなくて……。ごめん、奏ちゃんが助かる方法を探してみるよ」

「私も……調べてみる」



タイムリミットは、アーラが次咲くんとの契約を果たすまで。

それまでの間は、私はきっと殺されない。



なぜなら、悪魔は人間の嘆き悲しむ姿が好きだから。

それを見たいが為に奏ちゃんは生かされているんだよ。

次咲くんは、やけに真剣な顔でそう言った。