「大悪魔様と付き合い始めただって?!」



さっそく教室に戻り、次咲くんを人気の少ない階段まで連れ出した。



「しっ!声が大きいよぉ」



誰かに聞かれちゃったら大事だ。

次咲くんは申し訳なさそうに眉を下げると、ボソボソ聞き返してきた。



「それって……奏ちゃんは大悪魔様に気に入られちゃったってことだよね?」

「うぅん……。気に入られては無いんだけど、私を監視するためだって」



次咲くんに丁寧に説明した。



アーラにしばらく命は奪わないと言われたこと、その代わりに監視されていること。

そして何故、アーラは殺すことより生かしておくことを選んだのかという疑問。



次咲くんは、私よりもずっとずっと悪魔を知っている。

藁にもすがるような思いで聞いてみた。



「だから、奏ちゃんは気に入られちゃったんだよ。すぐ殺されないことがその証拠だよ」

「えぇ……本当に?」

「そうだよ。悪魔にとって、契約者以外に素性を明かすことは重罪なんだよ。そう……もしかしたら、大悪魔様自身が殺されてしまうかも」