「テメェなんだよその態度?喧嘩売ってんの?」

佐々原くんが田村くんの胸倉を掴み上げた。



「つつつつつつ次咲くん!アレ、アレ、アレぇぇえ!ヤバイヤバイヤバイ!」

「シーッ!奏ちゃん、だんだん声が大きくなってるよ」



ハッ、そうだったそうだった。

って……そんなこと言ってる場合じゃないじゃん!



「死人っ!死人が出るっ!」

「佐々原のこと?いいよ、死ねば」



次咲くん……いくらなんでもそれは酷いんじゃあ。



まぁそう思う気持ちは分からなくもない。

彼にずっとイジメられてきた次咲くんにとって、これほどまでに憎らしい人はいないだろうから。



よし、こうなれば……

私が!

私が止めるしか……!



意を決して飛び出そうとした時だった。

佐々原くんが拳を振り上げた。



「はっ……!」



アーラが殴られる!

……かと思いきや、佐々原くんの鉄拳がぴたりと止まった。



鼻先で静止する拳は、決して佐々原くんの意思で止まったんじゃなくて……

アーラがソレを止めたみたいだった。