ーザパァーーーンッ
 波の音と同時に、暑い日差しが当たっている。
 ーサクッサクッサク…
 そこに、一人の女のコが、ターゲットを目指して歩きだす。
「そーそーっもっと右!」
「ふぁいとぉー!」
「ちがう左ー!」
「みぎ!」
 あちこちから皆の声援が響きわたる。のだが。
「あーーっ!行き過ぎ!」
「そっちじゃない〜!」
「宇水がんばれー!」
「もーすこしっいけるでー!」

 ーブチ。
 
「うっさーーーい!!いっぺんに喋るなーー!!」
 そう力いっぱい叫びながら、思い切り棒を振り下ろす。

 ーバシィッ!

浜野宇水。中学3年生。
只今、宿泊学習に来ております。


「やったー!」
「当たったよ宇水〜!!」
「さすがだよ〜!」
「スイカゲットだぜ〜!」
「はやく食おーぜー!」
 もはや皆、褒めたいのかスイカ食べたいのかわかんない。
「あっつーいーっ!」
目隠しを取ると、目の前には見事に真っ二つに割れたスイカがあった。
…我ながらうまいな。
 一人でそんな事を思っていたら、
「はいっ宇水。今回もさすがだな!」
スイカを差し出しながら、嬉しそうに微笑んでいる男がいた。
「んっあんがとー凛♪」
こいつは菊池凛。私の小学校からの幼馴染。
 それともう一人。
「おいっそれ俺がくおーとおもって切ったやつなんだけど?」
 いきなり横から持っていたスイカを奪われた。
「ちょっ!?いまそれ私が食べてたんやけど!!」
 美浜理久。理久も、凛と同じ幼馴染だけど、それと家がお隣だったりする。
「は?んなの知らねーよ。」
私の言葉なんてお構いなしに、ペロリとスイカを食べてしまった。
ーガーーーん…。
「…私が割ったのに…」
「別に頼んでないし。」
 凛と違うと言えば、これだ。
 凛は、いつも笑顔が絶えず、運動神経抜群で、みんなから慕われている。
 理久は、成績はトップ&運動神経抜群、しかもクラス会長も務めてて、クラスのリーダー核。
 おまけに二人とも、めっちゃくちゃかっこいいから女子にもてる!!
 け、ど。どういう訳か、理久は私にだけものすごく冷たい。
 他の子が理久に助けを求めると
「大丈夫か?」
って優しく聞くのに対し、私には
「あーあ、ドンマイ。」
…ってさぁ!!まじ意味わかんないんだけど!!幼馴染なんだからもっと凛みたいに優しくてもいんじゃないの!?!?
 「理久のあほ」
ーボソ。
「あ?なんか言ったか?」
「別になんでもないですよー。」
 ーまるで拗ねた子供だな私。
 こんな事を、今までずっとしてきたのかと思うと、たまに可笑しくてしょうがなくなる。
「もーやめなよー」
 凛はそう言いつつも、楽しそうに私達を見つめている。
 そんな顔を見ていると、理久と言い合いをしてる最中でも、言いたくなる。
 「ねっ二人とも」
「ん?」
「あ?」