思わず隼人くんを見上げた。


「どうして、ここに?」


バイトがある日以外でここを通るのは初めてだ。

賑やかなのに変わりはないけれど、夜とはまた雰囲気が違う。

夜は独特の怪しさもありそれが魅力でもあったけど、ナンパの一件以来少し怖さが際立ったように感じていた。

昼間はとても明るい。活気がある。陽気がいい商店街のようで新鮮だ。




「ちょっとここを歩きたくなってさ。あんまりゆっくり見たことないだろ?」


「うん、バイト以外で来たの初めて」



私はくるくると周りを見渡した。


夜だと見落としていた面白い看板やお店が今日は色々見つけられる。



「昼間だとあんまり怖くないかも」


「そうやって油断してると、また野郎に捕まって連れてかれるぞ」


「そ、それはもう嫌だな…」



一件を思い出してげっそりすると、隼人くんはハハッと笑って、ごく自然に私の手を引いた。



「心配しなくても、守ってやる」


「…!」