9日目

何故だろう
目の前に知らない男がいる
知らないはずなのに、
なぜかお兄ちゃんだと思った
なぜか私の名前を呼んでいる。
って、え?なんで声聞こえるの?

お兄ちゃん『桜?どうしたの?』

桜『いや、別に何も。』
(こいつ。何考えてるの…?)

お兄ちゃん『そっか、ねぇ、遊びに行かない?』

桜『別に。』

お兄ちゃん『そっか、じゃあ何か食べる?』

桜『いらない!』

お兄ちゃん『んー、じゃあ一緒にテレビ見よっ!』

桜『だから、いいってば…』
(なんなの?この人。なんでこんな…)

お兄ちゃん『…桜…何か辛いことでもあった?』

桜『は…?急に何?意味わかんない。
馴れ馴れしくしないでよ!』
(私はなぜか辛かった、これ以上この人と一緒にいると壊れると思った。
だから、拒絶した。それなのになんで…?)

お兄ちゃん『さっきから辛そうだ、
本当に大丈夫なの?』

桜(なんで。なんであんなにひどいこと言ったし拒絶したのに。
なんで優しくするの…?)
私は泣き出した。

お兄ちゃん『…大丈夫。俺がそばにいるから、もう1人じゃないよ
俺は桜しか見ない』

桜『お兄ちゃん。
酷いこと言ってごめん。』

お兄ちゃん『酷いこと?俺は全然気にしてないよ?』

桜『え?!本当に?』

お兄ちゃん『ああ、俺は桜がいい子なの知ってるから、気にしない
それより桜。もう夜だからそろそろお布団入るよ』
と、お兄ちゃんは少し微笑みながら言った
私はそれに見とれてしまった。
いつの間にか布団の中だった、
お兄ちゃんが布団の横でなぜか私の頭を撫でながら手を握っている。
なんで?

桜『…お兄ちゃん。』

お兄ちゃん『どうした?』

桜『いや、そのさ、寝ないの?私につきっきりで疲れない?』

お兄ちゃん『ん?俺は桜が寝てからココで寝る
疲れないよ』

桜『そっか。でも、なんでそこまでしてくれるの…?』
私はなぜか安心し、眠りかけていた…

お兄ちゃん『ん?だって、桜こうしないと寝れないだろ?
ゆっくりおやすみ』
そう言いながら、お兄ちゃんは私のおでこに口づけをした

桜(お兄ちゃんはなんで私のことをこんなにもわかってくれるんだろう。)


いつの間にか寝ていた…
朝になっていた…
私は早くお兄ちゃんに会いたいと思った…
でも、もう会えるわけがないと思っていた。
なのに。

10日目

桜『お兄ちゃん!』

お兄ちゃん『桜…どうしたんだ?』

桜『もう会えないかと思ったの!』

お兄ちゃん『そんなわけないだろ?
安心しろ、俺はいつでも桜のそばにいるから…』

桜『ほんと?ならよかった。
ねぇ、お兄ちゃん。
お兄ちゃん私のこと好き?』

お兄ちゃん『ああ、好きだよ』

桜『なら…私のこと抱いて…?』
私はお兄ちゃんを誘った


お兄ちゃん『しない』

桜『なんで?!お兄ちゃんは私のこと好きなんじゃないの?!』

お兄ちゃん『好き=それじゃないだろ?
それに、桜…お前本当は抱かれるの嫌いだろ』

桜『え、なんで知って…。』

お兄ちゃん『知ってるに決まってるだろ?
桜のことならなんでも知ってる』
と言いながら、お兄ちゃんは私の頬にキスをした

桜『本当にお兄ちゃんは私のことをなんでも知ってるんだね。』
(私がキスが好きなことも。)

そして、またいつものように眠りに落ち、
朝になっていた。

また。またくだらない世界にいる。
早くお兄ちゃんに会いたい。
お兄ちゃん。


11日目

お兄ちゃん『桜…』

桜『おにいちゃん。どうしたの…?』

おにいちゃん『桜…そろそろ、お別れみたいだ。ごめん…』

桜『え、なんで?!ずっとそばにいてくれるって言ったじゃん!
おにいちゃんがいないくらいなら死んだほうがマシだよ!』

おにいちゃん『桜!桜にとって…俺がどれだけ大切かはわかる。
でも、桜はちゃんと良い人を見つけて結婚するべきだ…』

桜『なんでそんなこと言うの…?
私はお兄ちゃんが良いの!結婚しろっていうならおにいちゃんとする!』

おにいちゃん『桜…何を言ってるんだ…
俺と結婚するってことは。
死ぬってことなんだぞ…?
ずっと2人だけなんだぞ?
そんなのお前のためにならない。』

桜『でも、
私が帰ったらお兄ちゃんはずっと1人…
なら。私がそばにいる、好きだから
1人より2人のほうが幸せだよ
私のため?私のことは私が決めるよ
おにいちゃんはいつも私のためになんでもしてくれてなんでも理解してくれた
今度は私の番だよ』
桜が初めて。人を想った瞬間だった…


お兄ちゃん『…本当に。いいのか…?』

桜『勿論だよ!』

お兄ちゃん『わかった。結婚しよう』

桜(ふふっ、本当に私のことなんでもわかってくれるんだね。
その言葉…すごい欲しかった)
『勿論!』

お兄ちゃん『ありがとう。
じゃあ式をしようか』

そう言いお兄ちゃんが連れてきてくれたのは。
一面花畑の所だった

桜『すごい綺麗!』

お兄ちゃん『だろ?桜…お花好きだろ?』

桜『うん!凄い好き!』

お兄ちゃん『喜んでもらえたみたいで良かった。
式はここでいい?』

桜『もちろん!お兄ちゃんと式があげられるなら、どこでも嬉しいけど、
ここは特に嬉しい!』

お兄ちゃん『ならよかった。
じゃあここで式を挙げるよ
俺の言う言葉に答えてね』
と言いながら、お兄ちゃんは微笑んだ、
そして。指輪を置いた

桜『わかった!』

お兄ちゃん『よし、始めるぞ?
健やかなる時も病む時も桜は俺を愛し、そばにいると誓いますか?』

桜『誓います!』

お兄ちゃん『よし、俺も…一生誓います』

桜(私。嬉しい…』

お兄ちゃん『じゃあ、誓いのキスするぞ…?』

桜『うん。』
(お兄ちゃんの顔が迫ってきた。恥ずかしい…)
そして、口づけを交わし。

私とお兄ちゃんは永遠に結ばれた


〜現実〜

10年後

先生『この子が10年間も眠り続けている子なのか。
病気だとは思うが。』

看護師『はい。とても幸せそうですよね。』

先生『ああ、この子は何をしても目覚めなかったのか…?』

看護師『ええ、でも…どんな夢を見てるのか…とても幸せそうで、
時々起こさないほうがいいのではとすら思ってしまう時があります。』

先生『何を言っとるんだ。
このまま寝ていたら、死を待つだけだぞ。』

その後も桜は目覚めませんでした。

ですが。桜は死ぬまでずっと笑顔で眠り続け。
それを見た者は『美しい!』と驚きその後その人達は何故か幸せになったそうです
そしてその噂は広まり。
桜は眠り姫と呼ばれながら永遠の眠りにつきました