「年が明けた1月、ふたりで少し遠くまで初詣に行った帰りに…あいつは死んだ」
「え…っ」
思わず声が出てしまった
「あいつは3歳くらいの子どもが轢かれそうになっているのを見て走りだしたんだ。」
シュウくんの顔は
穏やかだった
「ドンッって音がしたとき俺は息が止まるかと思った。…そこには血だらけのあいつの姿があったから」
その言葉からは、映像が想像できた
「でも俺は思うんだ。カッコイイ最期だったんじゃねえかなって。」
今ならな、彼はそう付け足した
「あの時はな、死を受け入れられなくてまともに生活もできなくて高校を諦めた」
あと半年はあっただろう人生が一瞬で消えたんだから

