警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



複雑な気持ちを抱えたまま、大黒柱のいない家族団欒


リビングでゆったりして、夕ご飯の支度をして、また3人で食べてとなんの変哲も無い日常生活。


お風呂に入って、やっと私は部屋に戻ってきていた。



お父さんは、今日は忙しいみたい。
お兄ちゃんは非番だったみたいだけど。


私に彼氏がどうとかいう前に、お兄ちゃんこそ彼女を作るべきじゃ無いのかと思う。


髪を乾かした後、ゴロンとベッドに寝転がった。



自然とスマホを手にして、大和さんから連絡がないか確認。



……忙しそうだったから、後でかけると言ってはくれたけど無理そうかなぁ? まだあの女の人といるなら尚更……


1人でいるといろんなことを一気に考えてしまうから、頭が爆発してしまいそうだ。



「はぁ…」

とため息をついた刹那


着信音が鳴り響いて慌てて画面を見た。



大和さんだっ!

と期待したのに、そこには知らない番号が表示されていてあからさまに力が抜ける。



「だ、誰だろう……」


出るか出ないか……でも知ってる人だったら失礼だし、間違い電話なら教えてあげないと…だよね。



そう思って恐る恐る着信マークを押した。



「はい……もしも」


『真子ちゃんっ!私よ!元気??』




へ……と一瞬考えたけれど、すぐに誰だか理解。




「すみれさん…ですか?」


私の質問に案の定彼女の


ピンポーンがよく聞こえてきた。



『実は大和のスマホから勝手に番号控えてたの。ふふ内緒ね』


「そ、そうなんですか…」


『銀次から聞いたけど、真子ちゃん今日、男の子と一緒だったみたいじゃないっ! 大和ってば妬いてたわよ』


「へ……」



大和さんが……妬く?



そういえば彼が転んだところを見たということは、佐山くんと一緒にいたとき。



…妬いたというのはすみれさんが面白がっているだけのような気もするけど…気を使って声をかけなかった理由はそれだ。




『大和が嫉妬するなんて相当よ!真子ちゃんやるわね』



クスクス聞こえる笑い声


もし大和さんが嫉妬してくれていたならどんなにいいだろう。


私なんて女の子の声が聞こえただけでモヤモヤしているのに。



「……大和さん、まだ帰ってないんですか?」


少し踏み込んだ質問をしてしまったけれど、言ってしまったものは仕方ないと答えを聞くため黙り込んだ。



『……まぁ今日はちょっと連れ回されてるみたいね。銀次だけ帰ってきたみたいだし。』


「そ、そうですか……」



だけど、モヤモヤが増えただけ。
これ以上はさすがに聞けないし……


それにあの女の人が誰かなんて、知りたくない気もする。




『……大和が誰といるか気になる?』