警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



公園について、水道で膝を洗う。


「ごめんね…小学生みたいだよね…」


「派手に転ぶから驚いた」


苦笑いしながら、優しく面倒を見てくれる佐山くんにまた申し訳ない気持ち。


普段意地悪なところしか知らないから、まさかこんな風にしてくれるなんて思っても見なかった。



「お礼だったのに台無しだね……本当にごめんね」


「何言ってんだよ。こっちの方が大事だろ」




苦手だと思っていたけど、そんなことない。


照れ屋だけど、話をすると楽しいし

意地悪なことを言うけど優しいところもある。


きっと、男友達とはこういうものだ。



大和さんと同じはずなのに、どうしてこうも違う感情なんだろう。



そんなことを考えながら、ふと遠くを見たら見慣れた車が停まっている気がした。



……大和さんの家の車に似てる……



まさかね……。



すっかり脳が都合のいいように考えてしまうようになっている。



「ほら、ハンカチ巻いたから」


「え、でも汚れるよ」


「いいんだよ。別に。」


「…ありがとう……。でも佐山くんがハンカチ持ってるなんて意外」


「おまっ!何気に失礼だぞ!」



ついつい呟いたことに、彼が過剰に反応したのがおかしくて

プッ

と吹き出して笑ってしまった。



それにつられたように佐山くんも笑い出す。





「良かった……元気になって」



そしてぽつりと彼が呟いた言葉に私は唖然


「あ、えっと」


「なんか笹本、途中から笑顔に元気がなかったからやっぱり俺といても面白くないのかなって…」


「そ、そんなことないよっ!!た、確かに佐山くん意地悪だなって思ってたけど、それは私の勘違いだったし……その」



「そっか。なら良かった。」



ごめんなさい。佐山くん


心の中で謝罪する。


お礼するつもりができなかったのに、茶化したりしてこない彼に罪悪感ばかりが生まれた。




さっきの車もいつのまにかいなくなっていて、やっぱり私の頭はどうかしちゃってるなんて笑う。



佐山くんにはまた、改めてお礼しないと………




*********


「わ、若……なんか怒ってます?」


「うるせぇ。さっさと走れ」


「ちょっ、座席蹴らんといてくださいっ!! チビ子がおるって見つけたんは、若ですよ!?そりゃ他の男と楽しそうにしてたけど……」


「……黙らねぇなら殺すぞ」


「ひ、ひぃ」





……似たような車を見ただけで大和さんがいるなんて期待しちゃう自分をなんとかしなくちゃ。