目的のクレープを頼んで、それを両手に持ち、座れるところを探してくれている佐山くんの元に戻った。



「さ、佐山くんっ!お待たせ!」


気持ちを変えるためまた笑顔を作って少し走ると、段差につまづいて久しぶりに派手に転ぶ。




「さ、笹本っ!!?」


慌てたような声
膝がじんわりと痛い上に、転んだ拍子にベチャという音がしたので嫌な予感はしていた。



「…ク、クレープが……」



足元を見ないせいかよく転ぶとは言われていたけれど、最近はそんなこともなかったのに。




「あ……」


違う。
転ばなかったのではなくて、大和さんがいつも受け止めてくれたからだ。



なんて情けないんだろう。
お礼のためと言って買ったクレープなのに、高校生にもなって派手に転んで台無しにする私。




なにより頭の中。
大和さんのことばかりだ。
好きになるということがどういうことかわかってなかった。四六時中ずっと彼のことを考えてしまうなんて、もう病気と同じだよね。




「笹本?立てる?」


「ん…ごめんね。もう一度買って来るから」


「いや、いいって。それより膝から血が出てるから」





ポロっと涙が溢れたのは痛いせいじゃなかった



さっき、佐山くんに


大和さんとは付き合えない

なんて言ったこと、彼の存在が大きくなっていることに気付いたせいでその現実が苦しい



「わ、ちょ、んなに痛かった?」


「ち、違うの」




佐山くんが男の人だから、比べてしまう自分も最低だし、大和さんが彼のように普通の男子高校生ならと願ってしまう所も馬鹿すぎる。



友達でいいからそばにいたいと決めたのは私じゃないか。



「ほら、とりあえず近くの公園で足洗おう。な?」



「う、うん。ありがとう…佐山くん」



起き上がらせてもらってゆっくりと歩いた。



胸も膝もズキズキ痛い。




恋をするってこんなにも、理屈じゃなんともならないことなんだ…



あの時やめておくべきだったのかな。なんてもう遅い