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テスト期間が開始したけれど

驚くほど順調に記入できて

自分でもこんなにできたことはないと胸を張るくらい自信があった。



だって、勉強した部分がでると
大和さんの声が脳に響くんだもん。


大和さんの手が文字を書いてくれる。



とても私に効果的な勉強法だったんだなと自分でも笑ってしまったくらいだ。



そしてあっという間に1週間が経ち


たったいま最後のテストが終わった。



「亜紀ちゃんっ!! お疲れ様ー!!」



満面の笑みで近付くと彼女もニコリと笑う。


「テスト終わりに真子が笑顔なんて珍しい」


そう…いつもは、空白が多すぎて絶望するんだけど、今回はそんな辛い出来事は無かった。これもそれも大和さんのおかげ。



「ふふ…2日間、大和さんにみっちり勉強教えてもらったの。」


「……効果てき面だったわけね。」




私にはそれともう1つ、勉強に励めるものが。


彼からの”ご褒美”だ。


どこでも好きなところに連れて行ってもらえるだなんて、こんなに嬉しいことが他にあるのかな。


二ヘラと緩んでしまった顔を見て、亜紀ちゃんはとても冷静な顔で


「…緩み過ぎ…」


なんて突っ込んでいた。



そんなやり取りをしていると、ポンッと叩かれた肩。


驚いて後ろを見ると、そこには佐山くんがいる。



「…佐山くん?どうかしたの?」


「いや、今日テスト終わったなぁって。」


確かに終わったけれど……


「…うん。お疲れ様」

当たり前なことを言う彼に、私は首をかしげた。佐山くん心なしかニコニコしてて、雰囲気が柔らかい。


一体何があったんだろう。


「じゃ、じゃあ行こうぜ。笹本」


……行く?


「え、どこに行くの?」


私の質問に、佐山くんはあからさまにショックを受けて項垂れた。そんな私達を見ていた亜紀ちゃんから大きくため息が漏れて


「クレープ…行くんじゃないの?」


と彼との約束を思い出させてくれる。




しまった……すっかり忘れてたよ…




「ご、ごめんなさいっ! 私すっかり忘れてしまってて……」


「……!!」



再び悲しそうな顔をした彼に、私は罪悪感に包まれた。



クレープ大好きな佐山くんに本当に悪いことをしてしまった………