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「2日間……本当にありがとうございました。」


やるべきことはやったと、2人で達成感を見出してテスト前勉強は無事に終わった。



「いや、よく頑張ったな。真子」


「そ、そんな…大和さんがわかりやすく教えてくれたので……」


終わったら嬉しいはずの勉強
なのに今日は少し寂しい。
大和さんと一緒にいたいということの方が勝っている証だ



「…テストも頑張れよ…」


「は、はいっ!勿論!!」


玄関の前で話しているというのにこの場から中々動けない。名残惜しい気持ちがあるけれど、行かなければ迷惑がかかる。



「それじ」


「真子」


さよならの挨拶をしようとした刹那


彼は真面目な顔で私を呼んだ。



「…は、はい……」



「……お前…学校で男に話しかけられたりするのか?」



え……

と思わず口を開ける。



どうしていきなりそんなことを聞くんだろう……
話しかけられると言えば話しかけられるけど…



「…えっと…1人意地悪な男の子がいて、よくからかわれます……。」


「………へー…」


「あ、で、でも嫌われてるようなんです…っ。優しい時もありますが、大半意地悪なので。」



どうでもいいことをペラペラと喋ってしまったと、後悔したけれど言ったものは仕方ない。だけど、気になったのは少し不機嫌そうになった大和さんだった。



なにか…考えてるみたい。


「……テスト頑張れよ。絶対どこか連れてってやるから」


「え、あ、はい。」


「後、絶対他の男の前で無防備な発言するんじゃねぇぞ。」


「…が、頑張ります」



無防備な発言がなんなのかわからなかったけど、とりあえず頷いておく。ポンポンっと頭を撫でられたらお別れのタイミングが来てしまったことを悟った。



「ありがとうございました」


再び頭を下げて、私はやっと天龍家の敷地外にでる。




いつまでも見送ってくれる大和さんに何度も視線を送って、名残惜しさを感じながら一歩一歩といつもより遅く歩いた。





「……格好悪りぃ」





どうしていきなり学校でのこと聞いたんだろう




そんなことを考えても分かるはずもなくて……



まだ始まってもいないのに、テストが終わって早く彼に会いたいなぁなんて考える。







テストはきっと大丈夫だ…


だって、大和さんに教えてもらったんだもの。



そんな根拠のない自信を持ちながら、私は鼻歌を歌い、明日のテストへの気持ちを作ったのでした。