警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



わからないところは教えてもらい、自分で問題を解いたりと勉強会は順調。だけど私は不謹慎にも昨日よりドキドキしていた。


だって、大和さんの部屋にいるんだもの。
昨日はお店だったけれど、今日は彼の部屋で2人きり。


誰もいない……たまに銀次さんの声が聞こえるけれど、吐息が聞こえる距離にいることが恥ずかしい。


真面目に教えてもらっているから、こちらも真面目にやらなければいけないとわかっていてもついついそんなことを考えてしまっていた。


「真子……そこ、間違ってるぞ」


「あ、え、どこですか?」


「ほら、ここ…だ」


ふと顔を上げたらなんとも近い距離に彼がいる。


ドキんっと思わず心臓が跳ねた。



「……どうした?」


ニコリといたずらに微笑んだ大和さんに、私は思わず顔を隠す。



…あああ、どうしよう!あからさまな態度を取ってしまったよぉおおお



「…ご、ごめんなさい。」


「顔赤すぎ……」


「これは不可効力といいますか…あの、その」


「……何してんだ。お前は」


頑張って両手で顔を覆っているのに、その手を彼が掴んで引き離した。


顔に好きだと書いてある気がして
勉強に集中していないと思われそうで
思わず目を逸らす。



なにしてるの…私ってば……



「………それ無自覚でやってんのか?」


「え、」


そんな言葉とともに、大和さんの顔がゆっくり近づいてきた気がした。だけどそれは


「真子ちゃん!!?来てるの!!?」


大きな叫び声によって止まる。



「…あ、すみれさん…ですかね?」


勢いよく階段を駆け上がってくる音。
大和さんは、何事もなかったように私の手を離して顔を背けた。




「真子ちゃんっ!!」


いきなり開いたドア。


私の姿をとらえたすみれさんの顔がキラキラと輝きだす。



「会いたかったわぁああ!真子ちゃん!!どうしているの!?あらお勉強?」


「あ、は、はい。教えてもらってて」


「そう!よかった!!聞きたいことがあったのよ。来て正解だわ。」




彼女の聞きたいことという言葉も気になったけれど、それよりも心臓のドキドキが治らないことに悩んでいる。



大和さん……いま何をしようとしてたんだろう………