家に着いてからは、ご飯をたべてお風呂に入ってと何も変わりない日常を過ごした。
違うといえば今日教えてもらったところを復習したことだけ。大和さんの手や声を思い出して少しドキドキしたのは、私の胸の中だけにしまっておこう。
いつもより遅めにベッドに入ったその翌日
私は約束の時間に、大和さんの家の前にいた。
どこにチャイムがあるのかと探していると
「今日こそ!今日こそ、亜紀から連絡くる気がする。神さん!どうかお願いします!!」
携帯に祈っている銀次さんを発見する。
……亜紀ちゃん
連絡してないんだ。
そう思いながら彼を見つめていると、視線に気が付いた銀次さんが勢いよくこちらを向いた。
「あー!お前!何しにきてん!チビ子!」
「…あ、いや…大和さんに勉強を教えてもらいにきました」
「……なんやて……もしかして亜紀も?」
「……ごめんなさい。私1人です……」
あからさまに残念そうな顔をした彼は、はぁあと大きくため息を吐くと再び携帯に祈り始める。
わかりやすいなぁ…
とむしろ感心を覚えていると、玄関のドアが開いてそこから大和さんの姿が。
「よぉ。真子」
「あ、こ、こんにちは」
昨日の今日なのに、やっぱり会えてすごく嬉しい。
「あんなストーカーみたいなやつほっといて、中に入ればいい。」
「あ、はい。お邪魔します。」
2回ほどここにきたけれど、それは人に連れられて。
自分で来たのは、初めてだ。気持ち的にこの前よりドキドキする。
靴を脱いで揃えた後
大和さんの部屋に一緒に行って入れてもらった。
彼が言ったように強面の人達は見えなくて、どうやら銀次さんと大和さんと私しかこの屋敷の敷地内にいないみたい。
「……何か飲むか?」
「あ、いえ、お構いなく。わ、私ケーキ買ってきたので」
クスッと笑った彼におずおずとケーキを差し出せば笑顔で受け取ってくれた。
「……気を使わなくてもいいのに。俺もお前が食べたいって言うと思って買ってきたし。」
「え!?ならケーキパーティができますね。!」
「馬鹿。その前に勉強だろ」
しっかりしている大和さんに返事をして、昨日と同じように勉強会を始める。
そうだ…いい点数をとるために一生懸命頑張らないと。

