警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



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「はぁああ…疲れました……」



嫌という程文字を書いたし、嫌という程教科書と向き合った。大和さんの


「今日はこのくらいだな…」


という合図を聞いた途端、私は机に項垂れる。


「……よく頑張ったな。」


その頭を彼がポンポンと撫でたものだから、一気に疲れが吹っ飛んでしまった。



「あ、で、でも明日もあるし、よ、よろしくお願いします……」


うわぁ……頭撫でられちゃった…どうしようっ!
嬉しすぎて飛んじゃいそうだよっ!!


勢いよく起き上がり、熱くなる顔を誤魔化すように大袈裟に手を動かしながら話す。


「……真子」

「は、はい」



「……もしこれで良い点が取れたら……お前、俺に何してくれるんだ?」




へ……

と思わず口が開いた。


もちろん何かお礼はしなきゃと思っていたけれど、いまはっきり答えられる明確なことは考えてない……


「あ、そうだ!駅前に大きなパフェがあるんです!それはどうですか!?」


自分がされて一番嬉しいことを自信満々に答えたら、しかめられた大和さんの眉。


「……いらねぇよ。んなの。」


「え、い、いらないんですか!?」


なんということでしょうか。
最高のお礼だと確信したにもかかわらず……断られちゃった……。それなら一体どうすれば


他に何があるだろうと真剣に考えていると、クイっと彼に顎を持ち上げられた。



「……キスなんてどうだ?」


親指でゆっくりなぞられた下唇。
クスッと笑う色っぽい顔。



………キス………


「……!!?」



カッと目を見開いてすぐさま後ろに飛び跳ねる。
どんっと背もたれにぶつかれば、私はブンブンと両手を振りまくった。



「わわわわ私、ふぁふぁファーストキスもまだで、そ、そ、それに大和さんとは友達なので、そそそそそういうことは!!」



もう混乱状態で。
頭がクラクラするほど首を振って、おまけに言葉は噛みまくり。

そんな私を見て大和さんはまた


「プッ…」


と吹き出した。



「ば、馬鹿……どんだけ驚くんだよ。冗談に決まってんだろ……ははっ」


お腹を抱えて笑う大和さんに、私はかぁああと顔が赤くなる。



また意地悪な大和さんだ!!


「慌てすぎ…噛みすぎ……ククッ…見ててほんと飽きねぇ……」


「な、な、ひ、ひどいですっ!」


もうからかわれることが習慣のようになってきた気もするけれど、それはそれでどうなんだろうか。





「馬鹿……一緒にいると楽しいって褒めてんだよ」


たけどすぐさま、それはプラスに変わった。