まだ勉強が始まってもいないのに、もう心臓がドキドキしすぎて痛い。何か話さないとと心の中で思ってしまったので
「あの…昨日すみれさん大丈夫でしたか?」
なんて突拍子もないことを聞いてしまった。
「……姉貴?」
「あ、その、私の生徒手帳を見た後様子が変だったので」
「ああ…そういえばお前が帰って、部屋の押し入れから大量に物出しながら高校時代のアルバム探してたな。」
「あ、アルバムですか……」
同級生が私と同じ名字だと言っていたけれど、何か思い出して懐かしくなったんだろうか。
「出すだけだして後片付けは、銀次にやらしてたからな。あの女」
「なんかそれ、すぐに想像できちゃいます」
文句を言いながら片付けをする銀次さんを想像してクスッと笑った。そのうちファーストフードのお店に着いて、2人で足を止める。
「真子…なんか食うか?」
「あ、はい。た、食べます!」
2人でメニューを選んでセットを買って、奥のソファー席に。
ちゃっかり奢ってもらってしまった……
大和さんって一個しか変わらないのにやっぱり大人の男性みたい。
どかっと座った彼は、ゆっくりと座った私を見つめて
「んで、なにがわからないんだ?」
と聞いてきた。
「あの、その…」
「……なんだ?」
「ぜ、全部……」
嘘をついても仕方がないので、素直にそう呟いてうつむけば少しの間。
「ぷっ…」
そして笑い声が聞こえた気がして勢いよく大和さんを見た。
「ま、また笑いましたか!?」
「ぁあ?笑ってねぇよ!」
「嘘だ!顔が笑ってますっ!!」
正直笑顔を見られるのは嬉しい。
だけど、頭の悪さを笑われるのは複雑だ。
「真面目なタイプなのに、勉強できねぇとか珍しいのな。……一番自信ない奴はどれだ?それからやるぞ」
「あ、わ、わかりました。」
順番に教科書をだして、テスト範囲が書いた紙とノートも出した。
一番苦手なのは数学に決まってます……
「これです…」
おずおずとノートを差し出せば、手に取った大和さんは、ペラペラとめくっていく。
「真子」
「は、はい…」
何かおかしなこと書いてあるだろうか。
それとも、早速間違ってるとか?
といろんな不安を胸に抱くと
「お前、すげぇ綺麗な字書くんだな」
と笑顔を向けられた。
私は思わず固まって、下を向く。
このタイミングで褒めるなんてずるい。