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「ああ…どうしよう…緊張してきた」


翌日の朝

私は教科書をカバンに詰めながら抑えられない緊張にため息を1つ。


昨日すみれさんは、調べることがある。なんて言って部屋に行ってしまった。その間ももちろん大和さんと2人きりだったけど、ちっとも慣れる兆しが見えない。


だから今日もうまく話せるか不安だ。



「服……おかしくないかな……」


勉強するだけだというのに、おしゃれしてしまった自分はバカだなぁと思う。だけど少しでも可愛い格好で会いたいんだもん。仕方ない。



約束の時間までソワソワと何度も部屋を動き回って、挙げ句の果てに早くに家を出た。


結果、30分前に着いたじゃないか。



「き、気合入れすぎだよね…引かれたらどうしよう」


うわぁぁと両手で顔を覆って、自分の失態を嘆く。


ジッと固まって待っていると、約束の時間の10分前になり



「あ、」


大和さんが現れた。



かっ、かっこいい………



「悪りぃな……待たせたか?」


「い、いえ、か、勝手に早く来て…」


「お前、早く来そうだなって思って、俺も早めに出たんだけど、それでも遅かったな。大丈夫だったか?」


「だ、大丈夫に決まってます!むしろ気を使わせてしまってごめんなさい。」



やっぱり優しいなと改めて思う。初っ端からもうドキドキしすぎて心臓が喉から出そうだ。


「…それより、どこでやる?」


そんな私の気持ちなど知るはずもない彼は、キョロキョロと辺りを見渡す。


亜紀ちゃんとするときは、お互いの家か、ファーストフードのお店、あとは図書室だ。


お昼もまだ食べてないし、ファーストフードがいいかな?ここから場所も近いし


「ファーストフードのお店なんてどうでしょうか……」


「……真子がいいなら俺はどこでもいい。」


「あ、な、なら行きましょう」


隣に並んだだけで肩が熱を持つなんて病気だ。


彼の歩く足に合わせて歩くのが嬉しいなんておかしい。


だけど今の私は、本当に足が地に着いてないような感覚。


「人と勉強するなんて初めてだ……」


「そ、そうなんですか?」


「ああ……やる相手なんていないし。まぁ俺は授業だけ聞いてりゃ点数取れるしな」


大和さんの言葉に思わず目を見開いた。


天才だ…天才がいる……


思わず自分の勉強能力に不安覚える。


どうしよう……今更だけど絶対出来なさすぎて引かれるよ……



もっと予習してくれば良かったなんてもう遅い。