なんだかより一層仲良くなってるような気がするのは気のせいなのか。……それを言葉にしたら怒られるかな。



「亜紀……デートして愛を育んだやんか!」


「育んでないわよ……この変態!」



「…亜紀は可愛いなぁ…ほんまに」


猫なで声の銀次さんは、私へ話しかけるときと全く違う。それほど亜紀ちゃんが好きなんだろうか……


2人がじゃれあってる間に、大和さんがポンッと私の頭に手を置いた。



「…明日……忘れんなよ」


「あ、う、あ、はい!」


明日もまた会えるということがたまらなく嬉しくて、顔が思いっきり緩む。


勉強がちゃんと頭に入ってくるのか心配だよ……私



「真子!行くわよ!」


「あ、うん!大和さん、また明日」


反射的に手を振ると、彼もまた嬉しそうに手を振った。私の腕を掴んでズンズンと進む亜紀ちゃんは、なんだか顔が赤い。


「待ってくれ!亜紀!!」


「もうっ!なによ!まだ何かあるの?」


呆れたような顔の彼女の前に銀次さんから差し出されたのは、白い紙


「交換とは言わん。でも、もし、もし気が向いたら連絡してくれっ!」


どうやらそれには連絡先が書いてあるようだ。


どうするんだろうと見つめていると、ため息を吐いた亜紀ちゃんは静かにそれを受け取った。



「今日、お世話になったのは事実だし…一応受け取っておく」


「!?あ、あきぃいい!!!れ、連絡くれるか!?」


「一応よ!真子にまた何かあった時に使えるだろうし、気が向いたらね」


一体2人の間に何があったんだろう。
そう思うほど、やはり変化が目に見えている
亜紀ちゃんは、照れたように顔を背けると「行くよ」と短く言葉を放ってまた歩き出した。



「亜紀!やっぱり俺、お前のこと好きや!!」


「あーもううるさい。」


銀次さんはその後、とても嬉しそうな顔をしていて私達が道を曲がるギリギリまでその場にいた。亜紀ちゃんは、


ばっかじゃないの


とか言っていたけど、2人の距離は確実に縮まっているなと理解。



「何よ。真子……」


「いや、別に。何かあったのかなぁって」


「ないわよ。考えてるよりはいい奴かなって思っただけ。」



…亜紀ちゃん照れてる…


親友の変化についついニヤけた。
ずっとブツブツ文句言っていたけど、長年の付き合いから照れてる時の行動だってすぐにわかる。


銀次さんと亜紀ちゃんが仲良くなって、私が大和さんと仲良くなれたら楽しそうだな…なんて呑気なことを考えていた。







「……まさかね………真子ちゃんが……正道くんの妹なはずないわよね……」




すみれさんの胸に、モヤモヤしたものを残したなんて気づきもせずに。