警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



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ー週末


「亜紀ちゃん! もうあと1週間でテストだね」

「え、顔と言葉がマッチしてないけど大丈夫? 嫌すぎておかしくなったの?真子」


いつもならもう1週間前で泣きたい衝動に襲われているけれど、今日はそんな気持ちはどこかへ飛んで行っている。


だって、明日大和さんに勉強を教えてもらえるんだもん



「よっしゃあ!もうすぐ期末テスト!!」


「そして、あいつもあからさまに機嫌がいい」


掃除をしている私の横で足を組んで座っている亜紀ちゃんは、佐山くんをみてため息。


佐山くんテスト好きなのかな……それは羨ましいかも


そんなことを考えていると、彼がこちらに近づいてきて私の前に立った。



「笹本」


「あ、は、はい」


「お、覚えてるよな? テスト終わったあと……クレープ食べに行くの……」


一瞬なんのことかと思ったけれど、その約束を思い出して


「ああ!そうだったね!クレープ楽しみだね」


と笑顔を作る。



彼は珍しく本当に嬉しそうな顔で笑ったので、テストじゃなくてクレープが好きなんだ…… と納得した。


そんなに好きならお礼なんだから買ってきてあげるのになぁ。あ、でも出来立てが食べたいのかも。



箒でゴミを集めながらそう思って、私と2人じゃ気まずくないかな と気を使ってみる。



「ねぇ、亜紀ちゃんも来る? クレープ」


「え!?」




佐山くんと彼女は、わりとよく話しているから来てくれた方が彼にもいいかもしれないと誘ってみた。だけどなぜだか佐山くんは目を見開いて、おどおどしている。



「あー…いや、やめとこうかな。ほら、テスト終わりにはシフト入んなきゃいけないし。」


「だ、だよな! 金本はわかってる!!ほんとわかってる!!」


あ、笑顔に戻った……



佐山くんって本当によくわからない人だなぁ。



「っていうか佐山。浮かれてるけど、テスト終わった後も部活休みなの?」


「顧問が点数つけるために休みにしてるけど、自主練でふやつはいるよ。」


亜紀ちゃんの質問に佐山くんはニコニコと答えている。でもいつも真面目にバスケやっているのに、自主練でなくて大丈夫なのかな。



「無理しないでね。 練習大切でしょ?」


少し不安になってそう言葉を出すと、ブンブンと首を振った彼は真剣な顔


「……大丈夫……だってさ」


「ん?」



「笹本と行かなきゃ意味がない!!」



佐山くんの言葉に私は一瞬時間が止まった。


「え、どうして? 」

「ど、どうしてって」

「あ、そうか…お礼だもんね。」


「いや、そ、そうじゃなくて」


「大丈夫だよ。ちゃんとお小遣い持ってくるから。」



私がそう言うと、隣で大きなため息が聞こえる。犯人は亜紀ちゃんで


「可哀想に……」

と呟いていた。



なにが可哀想なんだろう


疑問に思ったけれど、クラスメイトに呼ばれて私はゴミを集める為にそちらへ行く。



「鈍すぎる……」


佐山くんが何か言ったけど、他の子の机を戻す音で聞こえなかった。