2人で帰ろうと肩を並べている最中も、亜紀ちゃんは珍しく静かだった。一体何が引っかかってしまったんだろう……そう思ったけど、聞くに聞けない。


「…ねぇ真子……」

「は、はい…」

「……ううん。やっぱりなんでもない。」



だってさっきからずっとこんな感じだ。


いっそのこと思い切って聞いてくれた方がこちらとしてもスッキリするのに。



「……大和さんの態度………心配だな……」


ぽつりと呟いた彼女の言葉は、大通りを走る車の音に紛れて消えたせいで聞き取れなかった。



私はというと、バイクを乗ってる人を見かけては思い出すのは大和さんのこと。



亜紀ちゃんと銀次さんの心配


そして大和さんの言葉と私の気持ち。


……友達なら大丈夫だと信じていること



”警察官の娘”

そんな大切なことを隠しているのに、それよりもいまの関係を選んでしまっている自分を嘲笑った。



決して叶うはずのない恋心なのに


馬鹿みたいにすがってる。


それで沢山の人に迷惑をかけることを気付かないふりをして。



いつも一緒にいる親友の隣にいるのに、少し罪悪感があるからか今日はぎこちない雰囲気。


時折眉を歪める亜紀ちゃんを見ないようにした私は……ずるい。