ポンポンと存分に撫でてくれたあと


「お前ら帰れるか?大丈夫か?」

なんて気遣いをいただいたので、2人で頷いた。


「…そうか……また家にいないと銀次がうるせぇから今日はもう帰る。言っといてやるから安心しろ」


「あ、て、天龍さん!」


「…ん?」


バイクのヘルメットを手に取った大和さんに、勢いよく叫んだのは亜紀ちゃんで、モジモジと少し迷いながら言葉をつないでいく。




「銀次って人の気持ち…わからなくもないから、あんまりひどいことしないでください。」




なんだかんだいって心優しい亜紀ちゃんに、私も続けて頭をさげた。



「お、お願いします……」


彼はそんな様子を見て、クスリとわらうと亜紀ちゃんの方向に目線をやる。




「お前……銀次に似てるな…」


「は、はぁ!?あんなのと一緒にしないでください!!」



大和さんもやっぱり同じこと考えてたんだ…

私も割と似てるなって思ってた。




そのままバイクにまたがった大和さんは私にニコッと笑う




「真子」


「な、なんでしょうか。」



「俺はお前のこと気に入ってるつもりだ。周りの声は気にせず側にいろ」



へ……と一瞬何を言ってるのか理解できなくて、ドキドキからバクバクという落ち着きのない音に変わる心臓





「……返事は?」


「わ、わかりました」


「……なら気をつけてな……」



ヘルメットを装着した彼は、エンジンをかけて笑顔をくれるとさっさと帰って行ってしまった。



そばにいろ



いま確かにそういったよね……確かに言ったよね!?


また交通違反をした彼だけど、そんなことを気にする暇もないくらいいまの言葉はパンチがあった。




「亜紀ちゃん…いまのはどういう意味かな…」


「意味?」


「そばにいろって……いわれたこと」



「うーん…友達でいていいってことじゃないの?」



亜紀ちゃんの言葉に、納得した私は小さく喜んだ。



友達でいていいんだ…大和さんと



すると私とは反対な顔をした亜紀ちゃんは、モヤモヤするから聞く!と叫び出す



「怒らないから言って。付き合ってないのよね。彼と」


「ま、まさか!付き合ってないよ!!」


「ならいいんだけど……」



能天気な私とは違い、亜紀ちゃんは少し違和感があったようだ。