ドキドキソワソワしながら、待っていると一台のバイクが音を鳴らしながらこちらに向かってきた。


まさか……と思って突っ立っていたら、目の前でブレーキがかかり止まる。運転手がヘルメットを外したら金のメッシュがキラッと輝いた。


「わりぃ……待ったか?」


大和さんだ…………
本当にわざわざ来てくれた……


「……ヤクザの肩書き以外完璧なわけ……?」


ぽつりと亜紀ちゃんがなにか呟いたけど、そんなことよりも私は1つ気になることがある。


「…大和さん…」

「ん?どうした?」

「ここ、車両の通行禁止です………」

「……ま、真子!!いまその言葉は違う!!」


コツンと亜紀ちゃんに頭を小突かれて、確かに何か間違えたと感じた。だけど大和さんは

「相変わらず真面目だけど、変な奴だな」


なんて笑いながらバイクを停めてこちらに来る。



そして私の前に立つと私の頬を包みスッと、目尻を親指でなぞった。


「赤くなってるじゃねぇか」


あまりの突然の行動に熱を帯びる私の身体。


や、大和さんって……見た目とは裏腹にこんなに優しく触るんだ……



「……あ、そ、その」


「……あいつにはちゃんと言っておく。悪かったな……まさか早速会いに行くなんて思ってもなかった」


「い、いえ……」


触れられるだけで心臓がおかしくなってしまいそうなのに、もっと触れてほしいなんて矛盾した考えが頭の中を回る。



大和さんを見上げながらつい見つめてしまっていれば、彼もジッと動かなくなった。



なんだか……この瞳に吸い込まれそうだ


「ごほんっ。私もいるんだけど」


ポーッとしていたら亜紀ちゃんのその声に時間が動いてハッとする。



いけない……魅入ってしまってた……だって大和さんも目線を外さないんだもん……。



「あ、あのわざわざ来てくれてありがとうございます」


「いや、別に……銀がしでかしたことは、俺の責任でもあるしな。」


「大丈夫です……私がお灸を添えておいたので」



やはり少し敵意を見せて亜紀ちゃんが横から会話に入ってそう言った。そんな彼女にクスッと笑った彼は


「そうか……なら少しは大人しくなんだろ……」


なんてことを返していた。



「あと、何かされたとしても真子のことは私が守るので……心配無用ですから」


まだ大和さんに信頼を置いていない、亜紀ちゃんの攻撃は止まらない。……とても心強いけど……



「……俺が来るまでもなかったか?」


「い、いえ、いえ!きてくれて……嬉しいです」



だんだん声が小さくなっていき、最後には完全に下を向いてしまった。


そんな私にクスッと笑いかけると、また優しい手つきで頭の上に手を乗せられる。



「……何も気にすることはないから……」



……ダメだ……そんな言葉すら……もったいないほど嬉しい