「な、何してるんですか? 大和さんなら来てませんよ」


相変わらず今日も目つきが悪い。銀次さんは大きいから威圧されてる気分になっちゃうよ……。


「あほ。若じゃなくてお前や。お前に会いに来たんや」


……てっきり大和さんの居場所を聞かれるとばかり思っていたので、きょとんと目を丸くした。


私に…用事?
銀次さんが?



「なんでしょうか?」


何を言われるのか想像もつかなくて、首をかしげたら彼はゴホンと喉を鳴らす。そしてキッと強く私を見据えると静かに質問をぶつけてきた。




「お前…昨日何しとった?」

「え、学校で授業受けてましたけど」


「誰がお前の学校生活聞いてんねん!違う!若とや!」


「ああ…大和さんと、クレープ食べに行きましたよ」


別にバレても困ることはないだろうと思って、素直にそう答えたら銀次さんは顔を思い切り歪め



「やっぱりお前かぁああああ!!」



とこちらの肩がビクッとなる勢いで叫ぶ。



「な、なんですか…いきなりお、大きな声で」


「うるさい!お前!なんてことしてくれたんや!!」


「な、何がですか?」


銀次さんに怒られるなんて、身に覚えがなさすぎる。と思わず亜紀ちゃんの後ろに隠れた。


大きい上に関西弁が手伝ってかとても怖い。



「しらばっくれんな!チビ子! 若が甘い匂いさせてる思って聞いたら、誰かとクレープ食べたって……クレープ!!天龍組の若頭がクレープ!ありえへんやろ!」


「く、クレープは人を選びません」


「やかましい!隠れてんと出てこい!ドチビ!」



私に飛びかかってきそうな勢いの銀次さんから逃れるため、どこかに逃げたほうがいいのかと考えた。しかしそれより先に亜紀ちゃんの低い声が響き渡る。



「さっきから聞いてたら、チビって真子のことディスってんの?」


「…で、ディス? お嬢ちゃん日本語喋れへんのか?というかチビっていうたらこいつしかおらんやろ」



その言葉をきっかけに、彼女の怒りスイッチがオン。
……これは、非常にまずい!