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「で、本当に何もなかったの?デートして」

「で、デートじゃないよ!!友達だから!友達!」


「はいはい。そうだったわね。」


「それと何回聞かれても何もないよ…大和さん、私のことを犬だと思ってるみたいだし。」


「いぬぅ!?」



翌日朝から亜紀ちゃんに捕まり昨日のことを事細かに聞かれた私は、友達として楽しんだということで内容を話していた。だけど流石に私の親友


本当に何もなかったのか…なんて
これで聞かれたのは3度目だ。


朝、昼、そしていま放課後。



「犬って何よ!それ大丈夫なの?っていうか朝も昼もそんな話聞いてない!」


「いや、親友になれるって言ったらね、親友よりも愛犬って感じだなって言われたの。」


「あ、あ、愛犬って……」


「それに私のこと美味しそうとかからかうんだよ。ね、何もないでしょ?」



安心させようと話したことなのに、何故だか亜紀ちゃんはあんぐりと口を開けてワナワナと震えだした。




「……純粋な真子になんてことを!!」


そして爆発した怒り。


一体どこで怒らせてしまったんだろう……


愛犬??それともからかう?



「あ、亜紀ちゃん…落ち着いて」


「美味しそうって言われて、真子はどうしたの!? ま、まさか流されてそのまま……食べますか?なんて言ってないわよね!?」


「言わないよっ!! 私は美味しくないもの!」


何を言い出すんだとそう返したら、彼女は突然真顔になり今度は悪い顔で笑った


「そうよね…真子だものね。天然でうまくあしらってるならそれでよし。可哀想な男」


百面相をする亜紀ちゃんを不思議に思いながら、そのまま校舎の外へ。



「大和さんね…すごくよく笑うんだよ。最初見た時は口の端をこう上げるだけだったのに、ニコって笑ってくれたの」


「へー…意外。そんな風に笑うなんて想像もつかない」


当たり前のように正門へ向かうと、少し辺りがザワザワしていることに気がついた。……あれ?誰かいる……


目を細めると派手なスーツを着た男の人が


「何みとんねん!! 見るなら金払え!!」


なんて叫んでいる。



……えっとあの人って……


まさかと思っていたけれど、まだ記憶に新しい関西弁に、スーツにオールバック。


もし思ってる人で間違いないのなら、用があるのは私だろうか。



「真子…私、あいつみたことある」


「うん……私もだよ。亜紀ちゃん」



見つけた場所からさらに正門に近づいた時は、もう確信に変わっていた。




「あ、おった!見つけたぞ!チビ子」



やっぱり……大和さんのお付きの銀次さんだ。