警察一家の娘恋した相手はヤクザの息子でした



公園でベンチに座り、クレープを見比べる。本物を目の前にしてもまだどっちがいいか悩んでる。


「大和さん…どちらを食べますか?」

「べつにどっちでもいい。なんならお前が食べた後でも食ってやる……」


さらりと大和さんはそんなことを言ったけれど、甘えてもいいのかな……。



「ほら、食ってよし」


ずいっと出されたクレープにかじり着くと


…よしされた犬みたいだな…

とポツリと彼が呟いたことでハッとした。



…すっかりペットポジションになってる……



だけどクレープが美味しすぎて夢中で頬張ってしまった。


そんな私の様子をジッとみている彼に、おずおずとクレープを差し出す……



「た、食べますか??」


私ばっかり楽しんでしまった……ついつい甘いものを見ると衝動が抑えられない。




大和さんは少し考えた後、私の口端に着いた生クリームを拭き取り、何故だかそれをペロリと舐めった。




え…


え!!?




「あ、は、え!?や、大和さん!?」


「…なに?顔真っ赤だけど」


意地悪く笑った彼にもう心臓はバクバクしすぎて苦しいくらいで、思わず口を抑えた。




と、友達って私が思ってるのと違う…っ!
なんだかこれって、こ、恋人みたいで……



おこがましいことを考えてしまったと首を振ったけれど、やっぱり恥ずかしい。


「甘いな……」


「す、スイーツなので……」



今時の男の人はこういうのが友達の感覚なのだろうか……いやでも……


と激しく心臓を鳴らしながら考えていると、大和さんが私の髪にサラリと触れた。




「……っていうかクレープよりお前の方が美味そう。」



とても意地悪な顔でそんなことを言った彼に、私は思わずキョトン



「…私は…食べても美味しくないと思います……」



どこがどうそう見えてしまったのか。



甘い香りでもしたかな?と匂いをかいでみたら大和さんがブハッと吹き出した。



「え、ど、どうして笑うんですか!?」


「い、や…ゴホゴホっ。笑ってねぇよ。お前といると飽きねぇなってっ」


「…あ、飽きないのは嬉しいことですけど。というか…大和さんってよく笑うんですね…私すごく感動してます。」



もっとクールでぶっきらぼうな人だと思っていたけど、そうじゃないみたい。


そんな発見がたまらなく嬉しい。



「私達親友になれますねっ!!」